丘みどりの新曲「明日へのメロディ」(あすへのメロディ)。3月17日発売。
最初に新曲のタイトルが発表された時、言葉の響きから、前向きで聴く人を元気づけるような曲なのかと勝手に思っていました。実際に聴いてみると、演歌的な曲調の要素がまっったくないのは想定内として、やや早めのテンポ、悲しげな曲調のバラード。(作詞:大柴広己 作曲:コモリタミノル)
衝撃的だったのはその歌詞の数々です。
「彷徨い続ける 奈落の底で」 どーん!
「罪人(つみびと)の扱いにされ」 はァー!?
「此の世は生きた屍(しかばね)」 ご、ごめんなさーい!
…と、わりと激しく、闇を感じる言葉が並んでいて、全てを突き放すような、救いのない内容。
主人公の決意はわずかに感じられるのですけど、希望を込めたであろう「明日へのメロディ」という歌詞だけ妙に浮いて感じられます。うーむ、この歌をどう受け止めればよいのか?
そのMVの撮影風景に密着した記事、そして、丘みどりが「明日へのメロディ」の制作の経緯について詳しく語っているインタビューがリアルサウンド等に出ているのでご一読を。
<リアルサウンドの記事>
・丘みどり、「明日へのメロディ」MVでジャンルの壁を超える表現に挑戦 撮影現場潜入レポート
・丘みどり、新たな一歩を踏み出した「明日へのメロディ」 ファンへの思いも語る
<レコチョク レコログ>
・演歌歌手・丘みどりが新曲「明日へのメロディ」をリリース!「私にとって、新しいチャレンジの1曲になりました」
これほどの歌詞でも、最初はもっと過激で、そこからずいぶん削ぎ落としたんですって。Oh…。
・丘みどり「明日へのメロディ」の歌詞 (歌ネット)
なんと!発売前にもかかわらず、3/16には「明日へのメロディ」のMVフルバージョンが公開されました。
映像の中で、丘みどりが階段を駆け上がる、平面的な四角い板が幾重にも重なったような、海辺にそびえ立つ建造物。レコチョクのインタビューでは「謎の建物」と呼ばれていますが(笑)、これは千葉県の富津岬(チーバくんのお腹、というか○○○に当たる部分)というところにある展望台。名称は「明治百年記念展望塔」。かつて浜崎あゆみが2009年にリリースした曲「Sunrise ~LOVE is ALL~」のPV撮影に使われた場所としても知られています。
MVの中で、丘みどりはいろんな表情を見せています。穏やかな表情で、ベッドで花びらや羽毛と戯れる赤みどりさん。対照的に、終始暗い表情で、最後は髪ボサボサになるほど打ちのめされる黒みどりさん。
真っ赤なオープンカー(ポルシェ!)を自ら運転している場面も。
『歌詞の奥にはコロナ禍に対するメッセージも重ねられており、今という時代へのレクイエムとも呼べる作品になった。』
『監督は新曲「明日へのメロディ」を聴き、「切ないメロディの中にどことなく光を感じて、赤=希望、黒=絶望というイメージが舞い降りてきました」と、今回のMVのテーマについて話す。』
(リアルサウンドの記事より引用)
なるほど…。
どう解釈するかは聴き手にゆだねながらも、新型コロナウイルス感染症によって深い暗闇の底に突き落とされた社会を背景に、人の心まで荒み切った絶望の中でもがき苦しむ主人公が、必死に抵抗しようとする「叫び」なのかもしれません。
余談。インタビューでは「サラバイ」という歌詞についても言及されています。確かに面白い言葉。ただ、私はその言葉が出てくる歌を知っていました。最初に聴いたのは、学生時代の音楽サークルの先輩によるギター弾き語りだったか…。